雪車でキャベツ

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こんな場所があるなんて、知らなかった。森の中に、学校のグラウンド位広い、真っ白な、何にも汚されていない低くなっている場所。雪は五センチ以上積もっていて、その下がどうなってるのかは全くわからない。 イコちゃんとわたしは、呆気にとられて寒さを忘れた。 なんて事だ、そこへ下りる、雪車の為かと思うちょうどいい幅の、五十メートルの、いい感じに急な坂がちゃんと有った。 「ね、昔はお母さんとやったんだよ、でももう最近はやってなくてさ、雪もなかったしね。ユーヒちゃんとイコちゃんとやれるなんて激やばだよ」 「まるで滑走路だね」 わたしが言うと、またおでこのつむじも雪まみれのイコちゃんが頷く。 「ふふふ、普段はおじいちゃんが歩いて下りてんだけどね。すごいちょうどいいでしょ」 慣れているはずのミキちゃんも、久し振りすぎてやり方を忘れているようで、暫く、子供用のに、色んなまたがり方をしていたが、初心者として見ていたわたし達の前で、ついに、坂のいちばん上から変な形で不本意に滑り落ちていき、最後まできれいに下りることなく、途中で左に落下した。 そしてわたしは叫んだ。 「ミキちゃーん!」 イコちゃんも一緒に呼び掛けた。 「ミキちゃーん!大丈夫ー!」 果たして、 「あっはっはっはっ!!」 下からミキちゃんの爆笑が聞こえた。結構な高さから落ちましたよ、あなた。
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