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もうすぐわたし達は中学生になる。成らざるを得ない。どんなに、成りたくなくっても。
雪のやんできた森の中で、大好きなイコちゃんと、本当はそれほどすきでもないミキちゃんと、雪車で落ちる。落ちまくる。
時間はわからなくなる。
せじゅんは、わたしに、真壁はお前を特別に扱ってんだから応えてやれと、ふだん喋らないのに、たぶん真壁くんとの友情の為にわたしに言った。
せじゅんに、そんな事をさせる真壁くんを、少し、イヤだと思った。
わたしはどうしても、どうしていいかわからない。
真壁くんを好きな女の子に妬まれても、只只、どうしていいかわからない。誰とも揉めたくはない、意地悪したいんでもない。
わたしには、わからない事が多すぎる。十二才だから。わたしは何かが変なのかもとたまに思うけど、そう思うと子供ながらに生きていられないから、考えないようにしてる。
お父さんもお母さんも、想像もしないだろう。子供がそこまで感じて考えてるなんて。
そんな虚しさも飛ぶ。
ミキちゃんはネイティブアメリカンみたいに叫ぶ。
雪はもう降っていないけれど、滑るのに十分積って、固まっている。
三人の衣服は濡れまくって、且つ、冷えきっていた。
なぜか気にならない。わたしは楽しんでる、たぶん、これ以上ないほど。ミキちゃんとイコちゃんもそうらしい事が伝わってきて嬉しい。
雪車があることの素晴らしさ。雪車で滑れる坂の有る事の素晴らしさ。
何にせよ、友達がいること。雪が降った事。
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