土曜日の夜

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「ゲイではないけれど、結局、そうかどうか騒ぎたいんだろう、じゃあそうしたらいいよ」 だって、 答えを知りたくないんだろ 本当のことがわからないままの方が快感なんだろ 僕がバイなら 僕がゲイなら あるいは僕がストレートなら 何が違う だから僕はゲイかバイかわからない曲をわざと作る 何が違うと問うためにね 何が違う ガールフレンドの表情は 樹々のように気高く冷たい 冬のロンドンそのもののよう 湖水地方で撮影があるって ガムばかり噛んでるモデル 快感を求めて僕の所へ来る タクシーで もしかしたら 親父の運転する車かも知れない 彼女は都会っ子なんだ インドから来た 何国人でもいい 男でも女でも 素敵なら 彼女はインドからはるばる来た お父さんと一緒に 移民でも 移民でなくてもいい 僕に、魅力的に感じられるなら 彼女の眼にインドが映っている そのインドは僕が唯一知っているインド 揺れる黒髪 彼女の眼にはお父さんから受け継いだ移民の魂がある でも、だからじゃない 揺れる黒髪 僕は単に、黒髪がすきなんだよ
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