土曜日の夜

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君はどう 君は観光ってしたことある 僕はなかった 貧しかったからね おやつはトマトだったよ ある日高速道路の脇で祖母とピクニックをしたことがあった 七才くらいかな 小さかったんだ 何でそうなったのかは覚えていない それが僕の、子供時代の唯一の観光体験だった 素敵だったよ ピクニックをするのは めずらしく晴れててさ 排気ガスを吸いながらサンドウィッチを食べた それは素敵なことだと僕は思う 君はどう 美しいかどうかは君が決めていいはずじゃないのか 僕は自分で決める 素敵かどうか すきかどうか 何に価値がある この世に一人しか居ない僕と君 自分の目で見ないでどうするの 僕の地元の友達みたいに 只突っ立って 壁の前に居るつもり? いつかヤクで死んでしまうかもね 手を伸ばすのを諦めれば 自分だけはそうならないと思う? 僕は、手にしたいものは届かなくても手を伸ばすんだ そして自分の目で見て 人の意見は聞かないね
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