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ヘイワーズヒースなんて、君は知らないんじゃないかな
ロンドンの郊外にある
僕はそこで生まれた
タクシー運転手の父はブラームスのファンで
金がないのにレコードを集めていて、
専業主婦の母はたまに絵を描いたけど、
アーティスティックな気質とワーキングクラスの暮らしは相性 悪いからさ
いつも満たされていないように見えた
いつも、公営住宅の、
君は知っているかな、イギリスには馬鹿みたいに狭い、汚い、公営住宅の群れがあちこちあってさ
日本人の家みたいな所に皆住んで、膿んでいるんだ
僕は、
公営住宅の窓から外を見ていた
五才の時にもう決めたんだよ
こんな所は絶対に出て行くって
うちの窓から丁度
ロンドン行きの列車が見えてね
それを睨んでいたよ
「俺はあれに乗って絶体にロンドンに行くんだ」って
五才からずっと思って、
周りの大人たちの
やる気のなさと、何もかもが灰色なことや、友達だって結局つまらない人生を親と同じように送っていくことに反抗しない連中だから、
俺のことなんか理解しないって
ヤク中の多い所でね
高校の時に友達がヘロインで死んだけど、
僕はちっとも可哀想と思わなかった
僕は奨学金を得るために勉強してさ
周りからはいつも白い目で見られてたけど、そう、
「ワーキングクラスのくせに本なんか読みやがって」って彼等の口癖だから
僕は気にしないで右手に本を
左手に可愛い女の子を抱えて
古着屋で買った、真っピンクのスーツを着て見せたよ
気分がよかったさ
ヘイワーズヒースに染まらないってことは
中学まではサッカーと陸上でレギュラー選手だったよ
高校でカールスバーグとセックスの味を覚えてから辞めたね
それから運動はしていない
セックス以外には
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