響き渡る

3/12
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
声を聴きたくなかった。 とにかく――誰もいないところへ。 私は森の中に逃げ込んだ。 家から少し離れた、大きな大きな森。 守り神が住んでいるって噂がある。 奥に行くごとに声が薄れて、やがて聞こえなくなった。 こんなに静かなのは、初めて……。 何も聞こえない。 何も聞かなくていい。 木漏れ日の気持ちよさに、私は思わず寝転がる。 神様がいるとされる、大きい御神木の下に。 そしてトクンと、私は眠りに落ちていった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!