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声を聴きたくなかった。
とにかく――誰もいないところへ。
私は森の中に逃げ込んだ。
家から少し離れた、大きな大きな森。
守り神が住んでいるって噂がある。
奥に行くごとに声が薄れて、やがて聞こえなくなった。
こんなに静かなのは、初めて……。
何も聞こえない。
何も聞かなくていい。
木漏れ日の気持ちよさに、私は思わず寝転がる。
神様がいるとされる、大きい御神木の下に。
そしてトクンと、私は眠りに落ちていった。
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