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自分が大勢に恨まれていた現実を突きつけられ一時は自棄になった彼だったが、冥界で知り合った半神たちに救われる形で難を逃れる。
すったもんだの末、結果的に封印は免れたものの神界にはいられなくなった彼はセタンタに名を改めて戦争から足を洗い、冥界で彷徨える魂たちを救うための仕事に就くことを決意した。
しかし、である。
「なぁ、クレス。これ全部今日の仕事?」
一体全部で何百体いるのだろう。いじけた少年のような口調で訊いてくるセタンタに軽く笑いながらクレスと呼ばれた大柄の青年が答える。
「こういう時は、大元を探す。強力なのが中に一体か二体くらいいて、残りはそいつらのせいでここに寄せられて動けなくなってるんだ」
慣れた口調で説明しているこの男も元英雄の半神で、名をヘラクレス。冥界の仕事人となった経緯はセタンタと似たようなものだが、もう何千年も働いている彼は、セタンタにとっては大先輩にあたる。
「へぇ……。つまりこいつらの大半は元締めの悪意に引き寄せられて集まってきたか、このトンネルでこいつらのせいで事故って死んだってとこか?」
少し真剣な顔で訊くセタンタにヘラクレスが説明する。
「お、流石に慣れてきたな。そうだ。前にも言った通り、悪霊化した不成仏霊は他の死者を無理やり引き寄せたり人を呪い殺して引き込んだりする。引き込まれちまったら最後、悪霊化して成仏できなくなるって寸法だ」
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