私と写らないで

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ねえ、カメラを持った死神の話を知ってる? その死神は、左胸から血を流していて、使い捨てカメラを持っているんだって。で、一緒に写真を撮ると、あっという間に死んじゃうんだって! なんて馬鹿馬鹿しい話なんだろう。普通、死神が持ってるのって鎌じゃね? とある女子高生は、最近流れてきているそんな噂に悪態をついた。 この世は本当つまらない。私を虐めてくる奴らを殺したくても殺せない。だったら私が死のうと、色々試そうとしても途中で怖くなって出来なくなる。意気地無しな自分。簡単に死ねる方法があれば良いのに。リスカの跡を撫でながら、彼女はそう思った。 「本当に死にたいの?」 突然目の前に黒ずくめの女が現れて、彼女はうわっ!と声を上げた。 「私は愛。自殺願望がある人間にしか見えない化け物よ」 女をよく見ると、胸から血を流し、カメラを持っていた。噂は本当だったのか。でも、本当に写真で死ぬなんて事は…。 「死にたい!殺して!」 彼女がそう言うと、女は彼女の横に並んで、カメラを構えた。後悔しない?止めるなら今のうちよと言う女に、良いから早く!と答えると、女はシャッターを押した。そのとたん、急に胸が苦しくなり、彼女は倒れこんだ。そして血を吐いたと思ったら、あっと言う間に彼女は死んだ。彼女の足元には、彼女と黒いモヤが写った写真が落ちていた。 結局私は、死後本物の死神になってしまったのだ。天国には行けないだろうとは薄々思っていたけど、地獄に落とされる事もなかった。気が付いたら黒いローブを着ていて、カメラを持っていた。私の姿は、自殺志願者にしか見えないらしく、普通に生きている人間には気付いてもらえなかった。美奈ちゃん、お母さん、お父さん、由希ちゃん…私の愛した人には、死んでも会えなかった。 私はただ魂を狩るだけの存在になった。 きっとこれからも呪いは解けない…。
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