汚い手紙

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目尻から垂れる涙の滴が、君の白さに似合ってて、そのまま頸まで垂れていったんだよね。その素晴らしさったらさ、真っ白の十二単を着込んだ牡丹みたいで、そして僕に笑いかけるもんだから、情熱やら欲情やら恥ずかしさやらが、芍薬みたいに幾つもの層に別れながら最終的に嬉しくさせるんだ。もうここまできたら次は百合の花の花弁やら色に合わせて私を褒めるのでしょって思うんだろうけど百合の花は僕自身に捧げる比喩にするよ。その訳はさ、僕自身の汚さにあってさ、これまで何十回も恋したし敗れたし勝ったし、なんなら街中で綺麗な子を見てあの子綺麗だなって思ったのを恋にカウントするんなら僕の指は多分火星まで増えないと数えれないかな。まぁ何が言いたいかと言うとさ、僕ってどんな恋でも初恋にしちゃうんだよね。前の彼女との恋は恋じゃないただの下卑た性欲の吐口に過ぎないとかぐちゃぐちゃ自分を正当さで塗り固めて最後には真っ白な百合の花みたいな少しくどい白の城を立てるんだよね。
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