吸血鎌鼬鉄道

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「あのね、お前は私の最初の友達だから、お喋りがしたいの」 最悪なやつと友達になっちまった、 と思いながら僕は適当に頷いておいた。 「なんで今日もここにいる?別の場所に移動すればいいのに」 そう聞くと、 「腹ぺこだもん、動きたくない」 と答えた。 「人身事故の時は起こった場所に行かなきゃ行けなかったけど、めんどいし」 あっけらかんと、吸血鎌鼬は言った。 僕が呆然としていると、 吸血鎌鼬は少しもじもじしながら言い始めた。 「あのね、私は、人の血で生きてるの」 「ああ」 「人の血が無いと生きられないの」 「うん」 「それなのに電車は人を殺してくれないのー」 吸血鎌鼬は何かを訴えるように僕に言う。 そんなの、僕に言われても。 確かに電車の人身事故はホームドアの設置で減ってるんだと思うけど。
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