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トッ。 店内アナウンスを暗唱できるようになってしまって数日、ワタシの入った箱は何者かによって棚から下ろされた。 どうやらワタシの持ち主が決まったらしかった。 お目の高い奴である。 がさこそかさごそ…。 何やら騒がしい音がする。 ワタシの入った箱はワタシを乗せてユラふらと揺れ始めた。 程なくして、嫌がらせのように聞かされていた店内アナウンスは聞こえなくなった。 途端、店内アナウンスがしおらしく思えるほど雑多な音の濁流が四角い暗闇の中まで押し寄せてきた。 流石のワタシも少々おっかない。 家電量販店の脱出は叶ったが、ワタシは何処へ行くのだろうか。 ワタシの持ち主となったのはどんな奴だろうか。 一先ず、箱を開けられるのを待つとしよう。
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