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ワタシに差し込まれている8Gのメモリーカードが容量限界を迎える目前、我が領地を軋ませていたアルバムが撤去されてしまった。
何時もと同じ茶色いカラーボックスの真ん中の棚、けれどもその日はとてつもなく広く感じた。
我が領地から見渡す限りでは違う場所に移された様子もない。
それだけに留まらず、主の部屋はワタシがこの部屋に初めて来た日の状態に戻されている。
あの日のポスターが存在感を取り戻している。
壁に張り巡らされ、紡がれた世界は一貫性を有するぶつ切りになっている。
ゴミ箱は破り捨てられた世界であふれていた。
時を遡った筈はなく、刻まれてきた時は確かにワタシの中にある。
主の仕業であることは間違いない、しかし、一体全体どうしたと言うのだろうか。
そなことを考えた矢先、主がワタシに手をかける。
途端、一息にワタシの中の写真を次々と消していった。
ワタシに選択の余地はない、されるがままである。
主の手が止まる。
容量限界を迎える目前だった8Gのメモリーカードは随分と空き容量が増えた。
それは宛ら穴だらけになってしまった部屋の壁のようだった。
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