二時間遅れのイブ

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 わたしが彼と出会ったのは今から一年ほど前のことだった。彼を一目見たときわたしは瞬時に恋に落ちた。それまで誰かに心躍らせることなどなかったわたしにとって、彼との出会いは運命だとすら感じたほどだった。  それからの毎日はバラ色と言っても遜色(そんしょく)のないものだった。真っ白に見えていた毎日が春に芽吹く花々のように色づいて見えた。  わたしは彼を見ているだけでよかった。彼の優しげな目や声。一見すると華奢(きゃしゃ)に見えて、けれど実は筋肉質な体。それでいて指はごつごつしてなくて白魚のようにしなやかだ。わたしはその一つ一つが好きだった。食べてしまいたいくらいに……。  
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