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不安定
わずかな明かりで意識が戻ってきた。
あの人の腕の中で眠ってしまったようで光の正体は彼のスマホだった。
ちらりと覗くと花の画像が見える。
「花言葉っていろいろあるんだね。勉強になったよ」
「・・・いじめないで」
恥ずかしくて消えてしまいたいが肌の感触が気持ちよくて離れたくない。
「あなたが10代のときから20年、こんなに尽くしても俺の気持ちは届かない。お固いお嬢様だ」
「不安なんだもん」
彼はスマホを放り投げて俺に腕を回してきた。
「俺も40代。お互いあまり時間がないよ。楽しむことだけに集中して、悩みなんかに時間取られてたらすぐ墓場だ」
「・・・うん」
「俺が今なに考えてるか知りたい?」
抱きしめる力を強くして俺に聞いてくる。
「あなたがまだ有名じゃない時に拉致監禁して要塞みたいな家建てて俺の監視下でしか生きられない可愛い子にしておけばよかった」
「それ犯・・・」
言葉を舐め取るように唇を塞がれて最後まで言えなかった。
「俺が狂うくらい好きってこと、何で伝わらないのかなあ」
「それがいつまで続くかわからないのが不安なの」
「とりあえず20年は続いたよ?信頼と実績あるのにまだダメ?」
「・・うん、まだダメ」
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