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1.テキスト
水曜日の放課後、俺と達樹は駅と商店街の中間にあるコーヒーショップで勉強をするのが最近の習慣になっていた。俺たちが通っている高校から電車で三十分ちょっとで着くその駅は、都会ほどではないが一応ショッピングモールやカラオケがあり、周りに民家と工場しかない俺たちの高校の生徒は放課後この駅で遊ぶのが定番だった。
そんな駅にあるコーヒーショップの二階、窓側のテーブル席に大体俺らは座る。二階の方がゆったりしているし、行き交う人たちを窓から眺めるのが結構好きだった。夕暮れ時なので、みんなどこかせわしなく家路まで急いでいる。
「お待ち〜、尚也のチョコオータムナッツね!」
俺が先に席を取って、達樹が後から二人分のドリンクを持ってきてくれた。
「ありがと。達樹は何にしたの?」
「お前と一緒のに、ホイップとチョコソースカスタムした!」
「うわっゲロ甘!」
「いやいや、元々十分ゲロ甘だからw」
そんなやり取りをしながら達樹も席に着いた。
期間限定のドリンクは一杯七百円と高いが、甘いものは好きだし、[放課後にコーヒーショップで勉強をする俺(私)]というほとんどの高校生が周囲に示したい演出には欠かせないアイテムだ。
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