その日

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 飲み会当日は、朝からウキウキだ。  十日前には雪が降ったのに、昨日・今日は晴れて暖かい。  住んでいるアパートの部屋は二階で、玄関を出れば海が見える。  真冬には海から肌を刺すような冷たい風が吹き付けてくるが、今日の風は穏やかだ。  柔らかな陽射しに近付く春を感じて、さらにウキウキしてきた。  私の仕事は、午後一時から四時までの三時間。年末年始の長期休みからのバタバタをまだ回収しきれていなくて、三十分だけ残業をする。  ダンナ特製のオムライスには卵が足りないかもと心配になり、近くのスーパーに寄って、結局あれやこれやと買い物をしてしまった。  まぁ、でも…今日は夕ご飯を作って出かけなくてもいいから、時間に余裕はある。  四人で暮らす二LDKのアパートに帰ってからも、娘達に宿題を急かしたり、洗濯物を片付けたりと休みなく働いた。  そして、スマホで時間を確認すれば…… 「やだ…もうすぐ六時」  思ったよりも時間が過ぎていた事に気付く。ダンナにも、最後の念押しをしておかなくては。  自分に予定が入ると、すぐにダンナに報告をする。  でも、一回話したくらいでは、すぐに忘れられてしまう。だから予定の一週間前くらいから、思い出すたびにダンナに言うようにしている。  そして最後のダメ押しが、私が出かける直前。今回は、ちょっと早いが連絡しておこう。  いくら仕事で神経を遣っているからといって、家で気を抜きすぎだと思う。  私や娘達の予定なんて何度伝えても、ダンナの右の耳から左の耳へと、新幹線よりも早く通過してしまう。
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