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「ん…っ、ふぅ…」
ぎゅっと宗一郎のシャツを引けば唇が離されて、しずくは深く息をつく。
口付けの名残で濡れた唇が冷やりとして心許ない。
「…しますか…?」
「あぁ」
抱きしめていた枕を取り上げた宗一郎が、無防備に晒されたしずくの首筋にそっと触れる。
「ぁ…っ」
辿るような指が残る痕で止まって、しずくは小さく声を上げた。
「今日は…途中で止まってやれない」
「…っ、ん…」
熱い目で見つめられて思わず逃げたくなってしまう。
──もし上手く出来なかったら、がっかりさせてしまうかも知れない。
込み上げる不安に瞳を潤ませて堪えきれず俯くと、優しい指が目尻を撫でて黒子をなぞった。
「怖いか?」
「…ぅ…」
──怖い。
宗一郎さんを幻滅させてしまうのが、怖い。
上手く誤魔化せず小さく頷けば顔を上げるように促されて、滲んだ視界で宗一郎を見つめる。
──最後までしたら、どうなってしまうんだろう…?
「君の全てが欲しい」
──そんなの、もうとっくに宗一郎さんのものなのに…。
「…宗一郎さん」
しずくは一つ深呼吸して、おずおずと手を伸ばし宗一郎の頬に触れる。
いつもより幾分高い体温が指先から伝わって、しずくは頬を染めて微笑んだ。
「──最後まで、して下さい」
「…、あぁ」
驚いた様に瞬いた後、困ったように微笑んだ宗一郎に唇を塞がれる。
熱い唇を受け止めながら首元に回した手でぎゅっと宗一郎を抱きしめると、布越しに重なった胸からむず痒いような感覚が走って思わず身動いだ。
それに気付いた宗一郎に胸の尖りへ布越しに触れられて、しずくは小さく喘いで身体を震わせる。
「ぁあ…っ、ふ、ぅ」
──上手く出来ないかもしれない。
けれど、宗一郎さんが求めてくれているのなら…。
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