ひとりぼっちの背中

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この学校にはろくな奴がいない。 「しょうもない事しやがって」 僕はトイレの鏡に背を向け呟いた。 背中には『バカ』と書かれた紙が貼ってある。 手を伸ばして取ろうとしても、絶妙な位置に貼られていて上手く取れない。 手で取るのは諦めて、壁に背中を擦り付けて取ろうとすると、余計にビッタリ張り付いてしまった。 「ちきしょー!」 僕は大事で叫んでいた。 「どうしたの?」 その声を聞きつけて一人の生徒が覗き込んできた。 隣のクラスの、確か片瀬。 いつもひとりぼっちでいる。 僕と同じだ。 僕は慌てて向き直って、背中を見られないようにした。 「あはは、後ろの鏡に映ってるよ」 「あっ……」 恥ずかしくなって下を向きそうな僕に、片瀬はさらに告げてくる。 「それってさぁ、制服に貼りつけてあるんだから、服を脱いで取ればいいんじゃない」 片瀬は優しく微笑んだ。
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