高橋健人 視点

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 俺は、異文化交流サークルが花見をする会場に到着した。 『席取っておきましたよ』  通知音が鳴り、誠のメッセージを受け取った。  後輩の誠がそこに居るだけで、ゆったりとした歩き方から少し小走りに変わる。久し振りに会えるのだから、上機嫌にもなった。 「悪い、遅れた」  ようやく毎年の定位置である場所まで辿り着いた。そこにいたサークルのメンバー達に声を掛ける。  早速、誠の座っている場所はどこかと思い、周りをキョロキョロと見渡した。  あ、誠!   何でだろう、簡単に見つけ出してしまう。  誠が座っている姿は、普段と変わらない猫背で気持ちが晴れやかになる。  でも見つけ出したのもつかの間、目の前に女性陣が立ち並んだ。  一瞬にして女性陣で誠の姿が隠れてしまった。誠の居る方へ行きたい。  けれど女性陣が行く手を阻むものだから、先には進めない。一人の女性に背中を押され、真逆の方向へと連れて行かれた。
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