死者と愛情と恋と涙

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今日の私の体調はとても良かった。 だから、今日は何か不幸な出来事があるんじゃないかと警戒していた。 その矢先だった。父のスマートフォンが鳴ったのは。 「はい。……はい。えぇ。はい」 短い受け答えを繰り返したあと、父は電話を切った。 私は 「ふぅ…」 とため息を吐いて布団に潜り、父が2階へ上がってくる足音を聞いていた。 部屋をノックする音に「はい?」と答えた。 父は部屋の扉を開けることなく、扉の向こう側から話しかけてきた。 「…浅井くん、亡くなったらしい」 「ふうん、わかった」 父の気配が扉の外から消えないので「それで?」と聞いた。 「いや、それだけ」 そう言って父は階段を降りていった。 私は浅井くんの彼女だったが、さほど心が動かなかった。両親は浅井くんを嫌っている様子だったし、浅井くんのどこが好きかとか、どんな良いところがあるかとか詳細に聞かれるのが鬱陶しくて、いつしか浅井くんから心が離れていた。
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