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「美里(みさと)さん?」
おっとりとした口調で聞きなれた声の持ち主は、浅井くんのお母様のものだ。
「こんにちは。この度は…」まで言ってお母様と目を合わせるとお母様は真っ赤にした目を私に向けて今にも涙を落としそうにしていた。
「生前は和樹くんには幸せな時間を頂いて…一緒に過ごした日々はとても尊いものでした」
私の口からはスラスラとそんな言葉が出てきた。
「美里さん…ごめんなさいね……」
お母様は言い終えることが出来ずに私に小さく頭を下げてその場をゆっくりと立ち去った。
途中、ゆらりと左右に身体が振れて近くを通りかかった知り合いらしき方が彼女を支えて言葉を交わしていた。
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