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 ほんの少しだけ、写真も悪くないかなと思った。この一瞬をずっと残してくれるなら。僕は卑怯だ。自分から写真を撮ろうと言えずに、まわりくどい手を使って、向こうから2ショットを撮りたがるように仕向けた。男らしくないけど、情けなかったけど、それでも2人で撮れたことがすごく嬉しかった。願わくば、写真の中の僕が、かつてニキビだらけで知らない男の子が逃げ出すぐらいだった僕の顔が緊張と喜びで真っ赤になっていませんように。
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