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写真を撮るのが嫌いだ。撮られるのも。ついでに鏡も見たくない。理由は簡単、不細工だから。小学生の時は、顔中ニキビだらけで、いじめられはしなかったけど、友達にはたまにバカにされた。でも何とか気にしないで毎日過ごしていた。皆、それで嫌いになってくるってことはなかったし、学校自体は毎日楽しかった。でも、学級写真は絶対撮りたくなかったし、トイレに行っても歯を磨く時でもなるべく鏡を見ないようにしてた。驚くかもしれないけど、ケイトブランシェットだって、鏡が嫌いなんだよ。インターネットで見た話だけど。弟は兄弟げんかの時にニキビのことを持ち出してバカにしたけど、いつも許した。だって弟だから。
でもある時、家族でアスレチックパークに行ったときだ。何でだか忘れたけど、僕は一人で車の中にいた。もともと、体を動かしたりとか、好きじゃないから、車で待ってたのかもしれない。最初は後部座席に寝転がって、ダラダラ本を読んでたけど、ひょいと体を伸ばしたんだ。その時、外にいた同じくらいの年の男の子と目が合った。
「うわ!!ブツブツ!!」
暑すぎないようにと窓を少し開けていたのかもしれない。とにかく車の中からでも聞こえるくらいの声でその子はそう叫んで、その子はダっと逃げるようにしてどこかへ走り去って行った。その時、僕は悔しいとか悲しいとか感じる前にうっすら涙ぐんでいた。
まず、お菓子や菓子パンを控えることにした。お母さんやお父さんにも相談して、ああいったものの食べすぎがやっぱり良くないだろうということだった。ばあちゃん家に行ったときは別だったけど。僕たち孫のためにいつでもお菓子が食器棚の下に用意してあった。ばあちゃんが用意してくれたお菓子を食べないわけにはいかない。だってばあちゃんだもん。後は、適度に運動すること。あいにく僕は野球もサッカーも嫌いで、走るか縄跳びぐらいしかできなかったけど、それでもしないよりマシだと思って、毎日少しずつした。本当に少しずつだったけど。学校のあだ名は本の虫、習い事はピアノという完全インドア派だ。ニキビをバカにしてきた弟はなぜかスポーツ人間で、後々、甲子園の春大会に出場することになる。そして、冷水洗顔までやってた。気のせいか分からないけど、肌が引き締まって、キレイになった気がしてた。最近、インターネットで調べたことによると、あの感覚は本当に気のせいで、実はあんまり効果的ではないらしい。インターネットだからどこまで本当かわからないけど。多分本当じゃないかと思ってる。今はやってない。そして、一番大事なこと。できたニキビを絶対につぶさないこと。
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