第三章 真木実家に帰るの巻 二話

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第三章 真木実家に帰るの巻 二話

 その後、まともな案は出ず、今日の一番時間を使った話題といえば先日真木が食べたというイタリアンレストランだ。なんでも少し高いとはいえ、その店のカルボナーラはなかなかの絶品だったらしい。(もちろんしっかり場所は聞いておいた。)    「じゃあ、また来週ね。」    「おう、今度こそホームページの話をしないとな……」    「大丈夫、もうあのオヤジは電話してこないから。」    何故かこの別れ際の言葉を聞いた時、自分が言われているわけではないのに胸が痛かった。      ————————    ピピピッ、ピピピッ、カチャッ    会社が休みの日曜日、いつもの時間にしっかりと天野は起きた。カーテンを開けると空は快晴、いい気分である。    少し軽くなった体でキッチンに向かい、パンをトーストにセットする。今日は気分がいいので目玉焼きも焼こう卵を割ると。    「おっ、ラッキー」    なんと黄身が二つ出てきた。いよいよ今日は運がいい。    宝くじを買った方がいいのではないかと思いながら天野は入れ立てのコーヒーを飲む。時計を見ると時刻は午前八時だ。今日は運もいいことだし昼まで素材集めでもしてみよう。物欲センサーなど、ものともせずに欲しい素材が手に入る気がする。  そこから天野は無心で三時間もの間モンスターを狩り続けた。    ——————    なんと冗談半分で素材集めをしてみたのだが恐ろしいぐらいにレアドロップが出る。まるで機嫌をとるかのように………    「なんか嫌な予感が……」    こういう時は必ずバランスを取るかのようにアンラッキーが降り注いでくる。天野は世界がそうやって成り立っていることを知っていた。    プルルルッ、プルルルッ    天野のスマホが突然鳴り始めた。    タイミングがタイミングなだけに少しホラー映画を思い出す。夜でなくてよかった。    相手を見ると真木だ。昨日会ったばかりだろ………    「もしもし?」    「あ、もしもし、突然でごめんなんだけど、今日って暇?」    「え、いやまあ、暇だけどさぁ、昨日あったばっかじゃん。」    「いや、昼ごはんどうしよっかなーって思って、天野君が昨日のカルボナーラの話に食いついてたの思い出したからどうかなぁって。」    「え、でもこの前行ったばっかりなんじゃ…………」    「あ〜、違うメニューも頼んでみたいの、どう?来れる?もしかしたら奢ってあげるかもよ?」    「十二時に現地で。」    即答だった。    そうと決まれば準備だ、この時すでに天野の頭の中から不安は消えていた。カルボナーラのことで精一杯である。    家を出てレストランに着いたのは十一時五十分、上出来だ。中に入り見回してみるが真木の姿はまだない、いつもならコーヒーを頼んでゆっくり待つが残念ながらここはイタリアンレストラン、そんなものは置いていなかった。    外を眺めながら待つこと五分、やっと知っているシルエットが視界に入った、真木だ。しかし妙だ、斜め後ろに五十代ぐらいの男性が付いているのだ。ストーカーにしては攻めすぎだし、彼氏にしてはかなりの歳の差だしまず仲が良さそうではない。なら誰か、天野は最近の記憶から答えを導き出した。確実に自分は合わなくていい人ではないのか。    「あ、お待たせ、啓太くん。待った?」    ん?今なんて言った?    「なんだよその呼び 痛ッ!」    なんで普通の質問しようとしただけで脇腹を抓られないといけないんだ。    「お願い、話を合わせて。」    耳元でそういうと真木は正面が空いているにもかかわらず隣に座った。四人席で向こうには連れがいるのにも関わらずだ。連れの男性も平然と向かい側に座る。いや、おかしいだろ。    この時、天野の嫌な予感は急激に上昇し始めた。どうにかして何かが始まる前にここから逃げなくては。    しかし先手を打ったのは真木だった。    「啓太くん、この人、私のお父さん。お父さん、この人が前に言った彼氏の天野啓太君。」          ……………………………は?    
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