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「何で!なんで父さんに、、、、黙って遠くに行っちゃったんだよ。美馬」
声は枯れる様に喉が鳴り、涙は止めどなく溢れる。娘を抱くように墓に抱き着きながら泣く姿は痛々しくも悲しかった。
思い出はスナップ写真で辿りながら、美馬に今を伝えようと父親は今日一日使って写真を撮っていた。
「父さん守れなくてゴメンな。美馬ずっと父さんの娘だからな」
潰れそうな声を上げた父親の鳴き声言混じり、一瞬間違いかと思う様な音が鳴り響いた。
”ありがとう”
何処からかそう聞こえると、涙こそ止まりはしなかったが声を上げるのを止め辺りを見回した。
「美馬!美馬なのか!、、、、、、、、、、なんで写真が」
突然シャッター音を響かせたスナップ写真。そこに映っていたのは空の青の一部を切り取っていた。
きっとこれは美馬が送ってくれたプレゼントなのだと気が付くとまた写真を抱くように泣いた。
何処までも青く吸い込まれそうな空の写真は、心の辛さを涙と共に洗い流す様な写真だった。
いつの間にか泣きやんだ自分に驚いていると、何処かで美馬の笑った声が聞こえたような気がした。
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