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蘭さんが呪文を詠唱する。
「みんな、がんばろ〜!」
どんだけ上げる気だ?
と思ったら、次は蘭さん、ドラゴンテイルをふるった。
斧をぬくために四苦八苦しているミノタウルスに見事にキマる。ミノタウルスの背中に赤いミミズばれが浮かびあがった。
ミノタウルスの息がちょっと荒くなってきてるぞ。けっこう効いてるみたいだ。
そして、三村くんのブーメラン。
三村くんと僕は一回ずつしか攻撃できない。ミノタウルスとの素早さの数値の差が、二回攻撃できるほどにはひらいてないせいだ。
僕は三村くんがブーメランを投げたあと、すぐに走りだした。順番から言って、攻撃のあと急いで逃げださないと、僕がターゲットにされる可能性が高い。
僕はミノタウルスの背後にまわりこみ、破魔の剣をスコンとツノのあいだに叩きこんだ。
か、固い。
ぜんぜん切れない。
これ、ほんとに剣か?
それともミノタウルスの皮膚が丈夫すぎるのか?
とにかく、効いてるかどうかじゃない。切るっていうより剣で殴ったあと、そのまま、うしろにとびすさる。
ちょうどそのとき、三村くんの投げたブーメランがミノタウルスの胸を強打した。ミノタウルスは瞬時、よろめいた。最初にみねをやられてるから、足元のダメージが残ってるのだ。
ミノタウルスは急に怒りだした。
HPが減ってきたのかもしれない。
斧をぬいて反撃してくる。
すかさず、三村くんが自ら前に出て、ミノタウルスのフルスイングを鉄の盾で流した。
スゴイぞ。
僕らのパーティー、けっこう相性いい。
次はまた、蘭さんの番だ。
「みんな、がんばろ〜!」
まだ上げるのか。
でも、行ける。
力があふれてくる。エネルギーの奔流が全身をかけめぐり、爆発しそうだ。
さらに蘭さんは鞭をふるった。
今度はミノタウルスの足をからめとり、横倒しにする。
よし。三村くんがブーメランを投げた。
次は僕の攻撃だ。
もうミノタウルスは虫の息だ。
ふうふう言ってる。
次の一撃でしとめられるんじゃないかな?
僕は、つい欲張ってしまった。
僧侶はみんなの回復役だ。
守りと回復に徹しないといけなかったのに。
横倒しになったミノタウルスのみぞおちを、ゴツンと一発。
たしかに、すごく効いた。
ミノタウルスが一瞬、白目をむいた。
でも、次の瞬間、ミノタウルスは雄叫びをあげて起きあがり、僕の頭上に巨大な斧をふりかざした。
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