三章 勇者ご一行の旅

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 蘭さんが呪文を詠唱する。 「みんな、がんばろ〜!」  どんだけ上げる気だ?  と思ったら、次は蘭さん、ドラゴンテイルをふるった。  斧をぬくために四苦八苦しているミノタウルスに見事にキマる。ミノタウルスの背中に赤いミミズばれが浮かびあがった。  ミノタウルスの息がちょっと荒くなってきてるぞ。けっこう効いてるみたいだ。  そして、三村くんのブーメラン。  三村くんと僕は一回ずつしか攻撃できない。ミノタウルスとの素早さの数値の差が、二回攻撃できるほどにはひらいてないせいだ。  僕は三村くんがブーメランを投げたあと、すぐに走りだした。順番から言って、攻撃のあと急いで逃げださないと、僕がターゲットにされる可能性が高い。  僕はミノタウルスの背後にまわりこみ、破魔の剣をスコンとツノのあいだに叩きこんだ。  か、固い。  ぜんぜん切れない。  これ、ほんとに剣か?  それともミノタウルスの皮膚が丈夫すぎるのか?  とにかく、効いてるかどうかじゃない。切るっていうより剣で殴ったあと、そのまま、うしろにとびすさる。  ちょうどそのとき、三村くんの投げたブーメランがミノタウルスの胸を強打した。ミノタウルスは瞬時、よろめいた。最初にみねをやられてるから、足元のダメージが残ってるのだ。  ミノタウルスは急に怒りだした。  HPが減ってきたのかもしれない。  斧をぬいて反撃してくる。  すかさず、三村くんが自ら前に出て、ミノタウルスのフルスイングを鉄の盾で流した。  スゴイぞ。  僕らのパーティー、けっこう相性いい。  次はまた、蘭さんの番だ。 「みんな、がんばろ〜!」  まだ上げるのか。  でも、行ける。  力があふれてくる。エネルギーの奔流が全身をかけめぐり、爆発しそうだ。  さらに蘭さんは鞭をふるった。  今度はミノタウルスの足をからめとり、横倒しにする。  よし。三村くんがブーメランを投げた。  次は僕の攻撃だ。  もうミノタウルスは虫の息だ。  ふうふう言ってる。  次の一撃でしとめられるんじゃないかな?  僕は、つい欲張ってしまった。  僧侶はみんなの回復役だ。  守りと回復に徹しないといけなかったのに。  横倒しになったミノタウルスのみぞおちを、ゴツンと一発。  たしかに、すごく効いた。  ミノタウルスが一瞬、白目をむいた。  でも、次の瞬間、ミノタウルスは雄叫びをあげて起きあがり、僕の頭上に巨大な斧をふりかざした。
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