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ミノタウルスの斧が目の前に迫る!
ああ、もうダメだ。
ここまでだったか。
僕のゲームライフ。
もうちょっと遊びたかったよ。
兄ちゃんもいないし、やっぱり僕一人じゃ……。
すると、そのときだ。
何かが僕の前にとびだしてきた。
三村くんか?
いや、違う。もっと小さい。
「キュイーンッ!」
ミノタウルスの斧を体で受けて、ボトリと地面に落ちたのは、ぽよぽよだ。僕らのあとについてきてた、あのぽよちゃん。
みるみる赤い血があふれてくる。
「ぽよちゃんッ!」
「キュウ……」
そうだった。すっかり忘れてたけど、蘭さんの得意技で仮の仲間になっていた、ぽよぽよ。
なんで、こんなことを……。
僕をかばってくれたのか。
ごめんよ。ぽよちゃん。
蘭さんの鞭が二度、鳴った。
バシン、バシンとミノタウルスを強打する。
最後にブーメランが、ミノタウルスの胴体の上を往復する。
ミノタウルスは地に伏した。
完全に失神している。
なんか音楽がチャラチャラ鳴って、みんなレベルアップしたみたいだけど、僕はそれどころじゃない。
血を流すぽよちゃんを前に、けんめいに「元気になれ〜」「元気になれ〜」とくりかえした。MPが底をつくまで。
だが、ぽよちゃんは目をひらかない。
「ぽよちゃん……」
蘭さんが僕の肩に手をおいて首をふる。
僕はそれでも、あきらめきれない。
「ぽよちゃん。死んだんじゃないよね? そうだ。いやしの泉に戻ろう。MPを回復したら、また呪文が唱えられる」
「ムダですよ。だって、かーくん。笑ってないよ。呪文は記号の顔で言わないと」
「だって……笑えないよ。こんなときに」
「教会で蘇生してもらいましょう。このぽよぽよは、まだ僕らの仲間だ。だから、蘇生魔法で生き返るかもしれない」
「わかった」
ぽよちゃん。きっと君を生き返らせてあげるよ。待っててね。
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