三章 勇者ご一行の旅

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 北の山脈のふもとに、小さな村があった。ほんとにすごく小さくて、武器屋も防具屋もないけど、宿屋と教会はあった。  僕はぽよちゃんを抱いて教会に走った。 「お願いします! ぽよちゃんを生き返らせてください!」  神父さんが僕の抱いたぽよちゃんを見て告げる。 「では教会に百五十円の寄付をお願いします」  あっ、よし。蘇生できるんだ。 「いいよ。百五十円くらい払うよ。早く生き返らせて!」  僕は急いで財布から百五十円とりだした。  受けとった神父さんは神妙な顔でうなずく。 「神の御名において、ぽよぽよの……」 「ぽよちゃん!」 「ぽよちゃんに今一度、生を与えたまえ〜」  そうだ。生きかえってくれ!  ぽよちゃん。  しかし、何も起こらない。  祭壇に置かれた小さな(ひつぎ)。  どうして、この世界では死ぬと勝手に柩が出てくるんだろう?  この柩のふたがひらくのを、今か今かと待ちわびた。  でも、そのときは来なかった。  困ったような顔をして、神父さんが言った。 「申しわけありません。祈りは神に届きませんでした」 「じゃあ、もう一回やってよ! 百五十円くらい、何回でも払うからさ!」  僕は泣きながら訴えたけど、神父さんは首をふるばかりだった。  ぽよちゃんは生き返らなかった。  それが現実だ。  僕はその日、ずっと泣きとおした。  ぽよちゃん。ごめんね。  僕を助けたばっかりに。  短いつきあいだったけど、君は僕らのほんとの仲間だったよ。  蘭さんと三村くんが静かに僕の肩を叩いた。
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