カマキリ女の愛情

1/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ

カマキリ女の愛情

あなたのことが大好きなの。 好きで、好きで仕方がないの。 すごく、すごく好きで仕方がないの。 毎日写真を眺めているわ。 一緒に旅行に行ったとき二人で撮った写真、 覚えてる? ずっと、ずっと一緒に居たくて仕方がないの。 だって離れるなんてできないの。 週末会うだけなんて耐えられないの。 ずっと一緒にいたいの。 でも、 子どもなんて欲しくない。 だから結婚するとか考えてない。 だけれど、 あなたと一緒に居たいの。 けれどどうしようもないの。 そんなことはできないって分かっているから。 永遠にあなたを束縛したいの。 でも、それはできないの。 でも、それが私の望みなの。 でも、それが私の唯一の幸せなの。 あなたが好きで、 だから一緒に居ないと不安なの。 私はあなたとずっと一緒に居たいの。 ずっと、 ずっと、 一緒に永遠を確かめるように一緒に居たいの。 だから私はいつも写真を眺めてる。 だから私はあなたを食べたいの。 え、 良く分からないって? あなたの血肉を私のものにする。 そうすればずっと一緒に居られるでしょ? 私はあなたと離れて一人で居る時間が怖いの。 寂しくて仕方ないの。 だから私はあなたを取り込みたいの。 そうすればずっと一緒に居るができるでしょう。 あなたが私の体の一部となって、 一緒に生きていくことが幸せなの。 もちろんだけど、 私に食べられてあなたは死ぬわけじゃないわ。  ずっと私と一緒に生き続けるの。 ほら、小さいときにやった結婚式ごっこみたいでしょ? 健やかなるときも病めるときもこれで本当に一緒に居られるでしょ? そうね、 こうも言えるわ。 あなたを食べることで完全な結婚式ができるのよ。 でもね、 今回は結婚式ごっこみたいな遊びじゃないの。 私には真っ白なウエディングドレスを着る結婚式だけでは物足りないの。 あなたの色に染まるだけでは物足りないの。 もっともっとあなたが欲しい。 本当にね、 ただ純粋に綺麗な気持ちでずっとあなたと一緒に居たいの。 だからね、 私があなたを食べれば永久にあなたと一緒になることができるはずなの。 ね、 それはそれはとても簡単なことでしょ? 私はあなたを好き。 あなたも私を好き。 だからあなたを食べさせて。 私はあなたの心まで永遠に私のものにしたいの。 写真だけでは不安だわ。 まずはあなたの肢体を千切り、 お菓子のようにボリボリ食べたいわ。 骨の周りの食べにくいお肉が特においしいの。 私はね、 大好きなあなたを徐々に食べていくの。 そうして頭の先から足の先まですべてが私のものになるの。 これでもう何も怖いことなんてないはずだわ。 だってもう一心同体ですもの。 でもやっぱり、 顔は最後に残しておくの。 こうして世界で一番幸せな私をあなたには一番身近で見ていてほしいから。 最期まであなたの目で私を見ていてほしいから。 でもあなたの血が噴き出して止まらないから、 せっかくのデートのために選んだ新品のお洋服が汚れてしまったわ。 けれどね、 今はお洋服に付いたあなたの血さえ愛おしいのよ。 そうでしょう、 これは結婚式。 あなたの色に染まって私はもっと美しくなるわ。 動脈の赤い血は紅に、 静脈の黒い血はアイライナーにするの。 今の美しくなった私をみて、 あなたは喜んでくれているかしら? 最後は頭がい骨を割って、 空けた穴から脳味噌にストローをさして、 食後のデザートとして飲むわ。 私と一緒になろうとするとき、 あなたの歓喜の悲鳴がきこえるの。 私は最高に幸せ。 もちろんだけどあなたも一緒になれて幸せでしょ? これは本当に幸せなことよ。 あなたは私の一部になっているからずっと離れることはないわ。 私はあなたと一緒に生きていく。 健やかなるとき病めるときも一緒なの。 私が死ぬまでずっと離れることはないのよ。 ほら、幸せでしょ? これで私とあなたは世界で一番幸せよ。 ちょっとそこのあなた、 さっきから私たちを見ていたわね。 私と最愛の人が一緒になるところ、 ずっと見ていたわね。 気付かないとでも思ったのかしら? あなたを食べた私にはすべてお見通し。 でも、 私は世界で一番幸せなの。 だから、 勝手に見ていたあなたなんてどうでも良いの。 なんであなたがそんなに震えているのか分からないわ。 私は優しいから。 今は気分が最高だから。 あなたにも幸せが訪れますように……って願っているわ。 あら、 あなたもよく見ると結構良い感じの人ね。 今度、 一緒に食事でもどうかしら? 怖いことはしないわ。 ただあなたとも一緒に居たいなって思っただけ。 これはとても尊いことなの。 ずっと一緒に居ることができる。 これ以上の幸せがどこにあるのかしら。 じゃあ、 待ってて。 この血の付いた服、 みっともないから着替えてくるから。 今度はあなたと一緒に居たい。 さっきの写真は思い出と共に破り捨てるわ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!