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あの二人の方が婚約していると聞かされれば、そうかもな、と思ってしまう感じだ。
そういう意味では、翔太と唯では、やはり、なにかが釣り合っていなかったなと思っていた。
「ともかく、俺は破談にはしませんからねっ」
と翔太は息巻いている。
「だいたい、なんでおじさんが言ってくるんですかっ。
会長が言ってくるんならともかくっ」
「あー、親父は、若い者に任せとけと言ってたんだけどね」
と言うと、じゃあ、任せときゃいいじゃないですかっ、とまた怒鳴られる。
いやー、任せられない感じだから来たんだよねーと困った甥を見、思っていると、今度は宮本に八つ当たりし始めた。
「大体、三郎丸も三郎丸だ。
家老の家の者でありながら、この婚姻を邪魔しようとするとは。
前田家のためにならんと言うのがわからないのでしょうかね、あの男は。
幼い頃は少女のように可愛らしかったのに。
今では綺麗なだけで、すっかりふてぶてしくなってしまって」
いやー、お前と結婚する方が前田家のためにならんと思うけどねー。
というか、ちょっと桝谷家としても、お前を使って縁組するのは恥ずかしいような気もしていたところだしな、と思っていた。
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