2293人が本棚に入れています
本棚に追加
「三上さんか、私か。
唯が選んだ方が、唯の夫と言うことで」
と言いながら、唯の側に来た慎吾は、ぽんぽん、と唯の肩を叩いてくる。
まるで、もう、こちらの同意を得ているかのように。
「あ、あのー、課長……」
という唯の言葉を遮るように、慎吾は唯の肩を抱き、
「いいですか? お祖父様」
と会長を見る。
会長、と呼ばなかったのは、じじバカな心に訴えかけようという策略のようだった。
会長は、うーん、と唸り、
「いいかね、唯さん」
と言ってきた。
「は?」
「どちらでもいい。
三上さんか、慎吾か。
貴女がいいと思う方を式までに選びなさい」
「いや、ちょっと待ってくださいっ、お祖父様っ!」
と翔太が叫ぶ。
「俺はどうなったんですっ!?」
いやまあ、そこだけは、ごもっとも、と思う唯の近くで、社長が、あーあ、という顔で苦笑いしていた。
最初のコメントを投稿しよう!