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「でも、ずっと君を好きだったのは、本当だから。
……長い間、言い出せなかったけど。
三上さんに、気に食わない婚約者を盾にしたりせずに、自分で戦って君を手に入れろって言われて目が覚めたんだ」
と慎吾は熱く語ってくる。
「唯」
と言いながら、慎吾は人気のない廊下で唯の手を握ってきた。
「どちらを選んでくれてもいいよ。
僕らは正々堂々と戦うから」
えーと。
正々堂々はいいんですが。
どうして、どいつもこいつも私の意見を聞いてはくださらないのですか。
だが、翔太や蘇芳と違い、いつも優しく頼りになる慎吾には文句も言いづらい。
とりあえず、帰ったら、蘇芳さん、殴ろう、と心に決めながら、唯は、しばらく慎吾に手を握られていた。
やけに長いな……と思いながら。
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