最終決戦と【ヒルフェ】

13/14
前へ
/526ページ
次へ
 しかし、俺は足を止めずに突き進んでいく。  そうして、アスターやドンドの側へと辿り着く。  そこでは、既に荒熊(ラーギング・ベア)だった魔物と、戦いを繰り広げている。  「行くぞ!」  ちょうどアスターが走っており、魔物の方へと向かっている。両手には火の魔力を込めながら、放つ準備をしているようだ。  だが、荒熊(ラーギング・ベア)だった魔物も負けじと、幾つもの毛を伸ばして、何度も何度も攻撃を繰り出してくる。  その攻撃は、広範囲に渡って繰り出され、先端が此の場の彼方此方に突き刺さっていた。  それは、俺の目の前にも来たので、咄嗟に身体を横に飛んで避けた。  ほぼ同時に、アスターも前の方へと飛び退いて回避している。  その間に、ドンドが斧を手にして魔物の毛に刃先を叩きつけていたが、ー  ガキン!  と大きな音がし、彼の攻撃は弾き返されてしまう。続け様に後ろへと飛び退いて、距離を取る。  それぞれが、バラバラな場所に着地する。  「いったい、どうするつもりだ!?」  と俺は、二人に大きな声で問いかける。  すぐにアスターが前を向いたまま、返事をしてきた。  「そんなもの、突撃あるのみさ!」  「要するに、何も考えてないんかい!!…あんた、いつもそうだよな?!…」  さらにドンドも話を聞いて、怒鳴り付けだす。  だが、すぐにアスターは反論し、ー  「失礼な、…頭まで筋肉の君に言われたくないよ。…考えならあるさ、…相手の厄介なのは、あの毛だ。…君の武器が効かないのなら、魔法が有効打だろう。」  「おい、まさか?…止めとけって!?」  「そら、もう一度、突撃じゃ!!」  と、再び走り出す。ドンドの制止を促す言葉も気にも止めておらず、さっさと敵の懐に飛び込んでいた。  「グオォ!!」  荒熊(ラーギング・ベア)だった魔物が、また毛を伸ばして攻撃を繰り出そうとしてくる。狙いは俺たちの方で、近くにいるアスターには、気がついてない。  「食らえ!エアロスラッシュ」  その隙に、アスターが至近距離で、両手から魔法の攻撃を放つ。風の魔法のようで、鋭い刃のような風圧が相手に襲いかかる。  すると、荒熊(ラーギング・ベア)のだった魔物の毛の幾つかが、切り刻まれていた。  「ぎゃふん?!…」  ただ同時に、アスターも後方に吹き飛んでしまい、地面に豪快に激突しながら、仰向けで倒れてしまう。風圧に耐えられないみたいだった。
/526ページ

最初のコメントを投稿しよう!

402人が本棚に入れています
本棚に追加