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しかし、俺は足を止めずに突き進んでいく。
そうして、アスターやドンドの側へと辿り着く。
そこでは、既に荒熊(ラーギング・ベア)だった魔物と、戦いを繰り広げている。
「行くぞ!」
ちょうどアスターが走っており、魔物の方へと向かっている。両手には火の魔力を込めながら、放つ準備をしているようだ。
だが、荒熊(ラーギング・ベア)だった魔物も負けじと、幾つもの毛を伸ばして、何度も何度も攻撃を繰り出してくる。
その攻撃は、広範囲に渡って繰り出され、先端が此の場の彼方此方に突き刺さっていた。
それは、俺の目の前にも来たので、咄嗟に身体を横に飛んで避けた。
ほぼ同時に、アスターも前の方へと飛び退いて回避している。
その間に、ドンドが斧を手にして魔物の毛に刃先を叩きつけていたが、ー
ガキン!
と大きな音がし、彼の攻撃は弾き返されてしまう。続け様に後ろへと飛び退いて、距離を取る。
それぞれが、バラバラな場所に着地する。
「いったい、どうするつもりだ!?」
と俺は、二人に大きな声で問いかける。
すぐにアスターが前を向いたまま、返事をしてきた。
「そんなもの、突撃あるのみさ!」
「要するに、何も考えてないんかい!!…あんた、いつもそうだよな?!…」
さらにドンドも話を聞いて、怒鳴り付けだす。
だが、すぐにアスターは反論し、ー
「失礼な、…頭まで筋肉の君に言われたくないよ。…考えならあるさ、…相手の厄介なのは、あの毛だ。…君の武器が効かないのなら、魔法が有効打だろう。」
「おい、まさか?…止めとけって!?」
「そら、もう一度、突撃じゃ!!」
と、再び走り出す。ドンドの制止を促す言葉も気にも止めておらず、さっさと敵の懐に飛び込んでいた。
「グオォ!!」
荒熊(ラーギング・ベア)だった魔物が、また毛を伸ばして攻撃を繰り出そうとしてくる。狙いは俺たちの方で、近くにいるアスターには、気がついてない。
「食らえ!エアロスラッシュ」
その隙に、アスターが至近距離で、両手から魔法の攻撃を放つ。風の魔法のようで、鋭い刃のような風圧が相手に襲いかかる。
すると、荒熊(ラーギング・ベア)のだった魔物の毛の幾つかが、切り刻まれていた。
「ぎゃふん?!…」
ただ同時に、アスターも後方に吹き飛んでしまい、地面に豪快に激突しながら、仰向けで倒れてしまう。風圧に耐えられないみたいだった。
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