俺と間男と決闘②

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俺と間男と決闘②

視界に細かいものが散らばって、体や顔に当たったのに、相手は「な!?」と踏みとどまって、目元を腕で庇った。痛みがないから、目くらましと判断してだろう。 すぐに目元を庇う腕を外したものの、その腕にくっついたのが放られて、床に落ち揺れるのを目の当たりにし、とたんに顔を青ざめ絶句したようになる。床に同じものが散乱しているのを見回し、足にもくっついているのに気づくと「っ!」と声にならない叫びをあげて、足を振り回しながら、尻餅をついてしまった。 一つだけ放り忘れたそれを指に挟んで揉みながら、相手の不様なさまを、にやにやと見下ろす。俺が持っているのはスライムだ。学校の科学の実験でよく作るゼリー状の物体で、おまけとして細かい一つ一つに目のシールを貼ってあり、ゲームが実写化したように、よりリアルなものになっている。 俺にすれば、触り心地がよいものの、相手は違うらしい。手に持つスライムを投げるふりをすれば、あきらかに、目を見開き慄くような表情を見せる。 逃げたいだろうところ、腰が抜けたのか、足元のスライムに目を泳がせて、小刻みに震えているばかりいる。口を利ける余裕もなさそうだったので「お前のことは、調べさせてもらった」と手に持つスライムを見せつけつつ、説明をしてやった。 「まあ、調べるだけむかつくほど、周りの評判はよくて、欠点も目立ってなかった。そんな、あざとく武士っぽいキャラをしていたら、笑い者にされそうだけど、周りに恵まれていたんだな。空気が読めなかったり、感覚がずれていたり、抜けているところも『可愛い』ときたもんだ」 良い評判ばかり聞かされていたときのことを思い出し、忌々しい気分になりながらも「ただ、『可愛い』で済まされないことがあったようだな」と鼻で笑った。 「小学校の実験でスライムを作ったときだ。お前はいつものように馬鹿真面目に実験していたけど、完成品を前にして、豹変した。顔色が悪くなって、触ってみなよってスライムを近づけられたら、教室からダッシュで出て行ってしまった。 体調が悪かったからっていう説明に、疑問を持った奴もいたけど、なんとなく問いつめたらいけないように思って、誰もツッコまなかったらしいな。そのうちの一人なんか、とんでもないものを目撃したっていうのに」 顔を強ばらせ、瞬きもせずにいるのは、心当たりがあるからだろう。やっぱりな、と思いつつ、勝ち誇ったような気分で言ってやった。 「お前のズボンが濡れているように見えたって」 屈辱で苦々しげに歪む表情を堪能しながら、やおら片足を伸ばして、相手の股間をかるく踏みつける。肩を跳ねて太ももを閉じそうになったのに、ポケットに突っこんでいる、もう片手を動かすそぶりを見せれば、またスライムを撒かれることを恐れてだろう、咄嗟に太ももを留めた。 「さすがに今は漏らしてないな」と足の裏で確かめるように股間を揉むと、相手は息を詰めつつ「卑怯な・・・!」と睨みつけてきたので「卑怯?」と一笑に付す。 「俺が卑怯に見えるのは、お前が傲慢だからだ。どうせ、俺のことを事前に調べなければ、決闘に向けて戦略を立てもしなかったんだろ。調べていたら、俺が中学で喧嘩負け知らずがとかの武勇伝が嘘だってのも、分かっただろうからな。 そんなことも知らずにいたのは、別に関係ないと思っていたからだ。相手がどうだろうと勝てる自信があった。自信があるのはいいけどな、何もしないのは怠慢だし、どんな相手でも勝てると思うのは傲慢だろうが!違うか!?」 一喝すると共に股間を踏みつけたら「んっ」と目を瞑り、しばし押し黙っていたものの「君の言うとおりだ」と悔しげに俯きながらも言った。 「僕の怠慢と傲慢が招いた結果ならしかたない。この状態のままで決闘をつづけてもかまわない」 潔いといえば聞こえはいいけど、すこしへ理屈をこねただけで降参するとは、やっぱり頭が足らない。「じゃあ、遠慮なくつづけさせてもらう」と尻のポケットからスマホを取り出したのを見て、怪訝そうにしているあたり、本当に純粋に決闘することしか頭になかったらしい。 スマホを動画モードにしてから、股間を揉むように足を動かしだすと「なっ!なに、をっ!」と腰が抜けた状態ながら、腰を引いて痙攣させる。太ももを閉じようとするのに、ポケットの膨らみを揺らして牽制しつつ「お前潔癖なんだってな」と股間を踏みつづけた。 「武士っぽいキャラだからか、結婚するまでセックスしないだとか、無闇に抜くのは汚らわしいことだとか言って、周りを白けさせているって、聞いた。まあ、口だけで、抜くのもセックスもしまくっているかもしんねえけど、そんな潔癖ぶっている奴が、思いっきり射精する動画をネットで流したら面白くね?」 こちらが端から決闘するつもりがなかったことに、やっと相手は気づいたようなものの、時すでに遅しだ。股間を揉まれて、戸惑いの表情を見せながらも、反応してしまうらしく「ん、は、あっ、やめ」と喘ぐように息を切らしている。「なんで、こんな・・・こと」とやっと言うのに「こんなこと?」と股間を強く踏みつけた。 「はじめに言ったよな。俺が裏切られた分の報いを、お前らに受けさせないと気が済まないって。たとえ、決闘して、お前が負けたとしても、俺が求めるだけ屈辱や苦しみを感じはしないだろう。 それに、あいつも『私のために!』なんて悲劇のヒロインぶって喜ぶだけだ。そんなの冗談じゃない。お前には死にたくなるほどの恥をかかせてやる。彼氏の射精している動画が流出したとなれば、あいつだって一生の汚点になるだろうよ」 「やめろ、はっ、こん、な・・・」と頑なに口では拒みつつ、股間は着実に固くなっている。「はっ」と嘲って上半身のほうを見れば、はだけだ柔道着から乳首が覗いていたので、股間からするりと足を上に滑らせた。 相手が息を吐いたところで、足の親指と人差し指で乳首を挟んだら「ひ、あっ!」といい声で鳴いて、胸の筋肉をひくつかせた。結婚までセックスしないという硬派もいいところの、こいつなら、男のそこが愛撫されるなんて、ありえないことなのだろう。 それでいて体の感度はよろしく、性的な好奇心もあるのか「そんな、とこ、っく、あ、はあっ」と頬を染めて、足の指でいじられる乳首をじっと見ている。乳首が張りつめて赤く腫れたようになってから、指を外してやり、もう片方の乳首もいじめてやる。 快感に体が痺れて、理性が利かなくなってきたからか「あっ、あ、そん、なっ、はあ、りょうほっ、はあぁん」と喘ぎ声を垂流し腰を震わせ、遠慮なく悩ましいさまを見せつけてくる。その乳首が完全に起ちあがったところで、一旦足を引いて、柔道着をはだけて赤い乳首を起たせ、股間をふくらませている、みっともない姿をばっちり動画におさめた。 「さあ、どうする?」と一時停止ボタンを押して、スマホを下ろすと、せめて顔があまり写らないよう、俯いて目を瞑っていた相手が、浅く息をしつつ、おもむろに見あげてきた。髪を乱し、真っ赤な顔で涎を垂らしながらも、潤んだ瞳で睨みつける。まだ自分の立場が分かっていないような相手に、ため息を吐いて「お前の出方しだいだけど」とスマホを振ってみせた。 「俺も、武士の情け?つっうのがないでもない。こんな恥ずかしい動画を流すのは、さすがに可哀想だと思うからな。だから、代わりに、お前が土下座をして許しを請う動画を撮らせてくれたら、こっちの動画は、手をつけないでやってもいいと思う」 睨みつける目の力みが、やや緩んだのは、破廉恥な動画を周知されないで済むかもしれないと、望みを見いだしたからだろう。自身のためもありつつ、彼女のためなら、土下座してもいいと考えているのだろうけど、甘い。「土下座するだけじゃない」と、その甘さを一蹴するように言う。 「『お前みたいな女と浮気をして、損をした』『ブスで性格もどブスなお前なんか好きになるなんて、どうかしていた』って、あいつを目の前に罵倒してもらう。土下座とあいつを罵る動画で許してやるよ」 俺の言葉に相手はぽかんとしてから、みるみる苦虫を噛み潰したように顔を歪めていき「どうして」と呻くように呟いた。 「君は彼女のことが好きなんじゃないのか。たとえ、好きでなくなったとしても、前は好きだった女性に、なんで、そんな残酷な仕打ができるんだ」 「浮気をされて、それでも好きだとか抜かして、決闘を申し込んでくるお前のほうが、頭がおかしいんだよ。俺は、俺だけ好きでない奴なんか、大嫌いだ」 相手はすぐに、言い返そうとして唇を噛んだ。悔しそうに俺を見ていたものの、ふっと気の抜けた表情になって「寂しいやつだ」と囁いて。 俺は俄然、股間を踏みつけた。痛さもあって「うぐっ!」と相手が屈んで呻いているうちに、股間を踏みつけたまま、片膝をついて、手に持つスライムを差し向けた。 とたんに顔を上げたそいつは、火照ったような顔を一気に青ざめさせて、上体を反らす。泣きそうな顔を、しきりに横に振るのにかまわず、スライムを近づけていったら、それにつれ上体を倒していって、ついには畳の上に寝そべった。 もう逃げようがなく、固く目を閉ざして構えているところに、スライムを乳首に押し当てた。涙を散らして目を見開いたなら、その顔は死人のように血の気のないものになって、足で踏んでいる股間の膨らみが、萎んでふにゃふにゃになる。もう意地を張る余裕もなさそうに「やめ、やめろっ、やめ、てくれ・・・!」と絶えず涙を滴らせて、歯を鳴らさんばかりに震えた。 武士っぽく格好つけて偉そうにしていたのが、見る影もなく、見苦しく命乞いしているさまに「いい気味だ」と思うより、少々呆れてしまう。そりゃあ、誰だって、恐いものの一つや二つあるだろう。にしたって、屈強な大男をなぎ倒すこともできそうな、こいつが、何の害もないゼリー状の物体に震え上がるなんて、どうしても、理解しがたい。 スライムで乳首をこねられて、大べそをかいているのに、つい見入ってしまい、動画を撮るのをすっかり忘れていた。スマホを持ち上げ、電源を入れようとしたところで、股間を踏みつけている足の裏が生温かくなり、はっとして見やれば、股のところに濡れた染みが広がっている。じょじょじょと、微かな音を立てながら、布に吸いきれないでのが畳に滴り、小さな水溜りになった。 マジか、と呆気に取られるあまりに、汚いとも思わずに濡れた股間を踏んだままでいた。スライムも乳首に当てたまま留めていたものの「うう、う」と呻き声が漏れてきて、自ら押しつけるように震える胸が、さあっと赤みを帯びていく。 顔も蒼白だったのが燃えるように染まっていった。湯気が立ちそうに全身隈なく、指の先まで赤くして、息も絶え絶えのように嗚咽を漏らしながら、泣きじゃくっている。まさに、恥ずかしくて死にたいといった体だけど、悲しみに打ちひしがれているだけでなく、俺の目がおかしいのか、なんとも言えない色香を漂わせているように見えた。 生唾を飲みこんでスライムをすこし動かしてみると「あっ!」と今までになく、甘い声で鳴く。その声に自身も驚いたようで、目を泳がせつつ、懇願するように俺を見つめ、しきりに首を振ってみせたものの、舌なめずりをした俺は、スライムで乳首をこねくるのを再開させた。 「あっ・・・あ、あぁ、はっ・・・ん、あ、あん」 こいつの神経回路はどうなっているのか。ついさっき、スライムに犯されてお漏らしした奴が、されていることに変わりはないのに、艶のある掠れた声で鳴いて善がっている。濡れた股間はさっき以上に固さを増して熱くなっているし、腰をもじもじとする始末だ。 困惑しながらも、スライムで乳首をこねるのに没頭し、涙と涎を垂流しに、ほどけた髪を乱して善がるさまを凝視した。片方の乳首だけ重点的にスライム攻めされて、もどかしいのだろう。 そのうち濡れた股間を、水音を立てて俺の足に擦りつけだす。スライムに乳首をこねられて、あんあんと腰を揺らしている、世にも稀な痴態を、記録しておかねばと、スマホの電源を入れて録画のボタンを押してから、スライムをぴょんぴょんと跳ねさせ、もう片方の乳首に向かわせた。 「あ、あん・・・や、も、もう・・・はあ、ん」と一段と、足に股間を擦りつける腰の動きが忙しくなって、もともと濡れていたのが、さらに漏れてきたのと混ざって、ぬちぬちと粘着質な水音が立つ。完全に快感に飲みこまれながらも、厚い柔道着越しの刺激では決め手に欠けるようで「や、やだ、やあ、っあぁ、やあ、やぁん」と言いつつ「もっともっと」とばかりに腰を振ってみせた。 お仕置きなのだから、頭がいかれるくらい焦らしてやってもよかったものの、濡れた股間にスライムをやったらどうなるだろうかと、好奇心のほうが勝って、乳首から放した手で帯を抜きとった。足も退けると、反射的に追うように腰を上げたので、その隙に下着ごと柔道着の下を剥ぐ。 二重に濡れたそこは、てらてらとしていて、思わず見入ったようなそいつは、スライムが近づいているのに気づいて、また目を瞑って顔を背けた。といって、さっきのように恐怖でなく、期待に体を震わせているようで、濡れたそこも起ったまま痙攣させている。痙攣する先っぽにスライムを乗せるように当てると「あ、あぁっ!」とそれだけで、達したような悲鳴を上げた。 「ああっ、あ、あ、や、は、あぁん、や、や、だ、そん、あ、ああぁ」 先っぽにスライムを跳ねさせれば、これまで以上にみっともなく、涎と喘ぎを垂れ流しにする。帯がなくなったことで、柔道着の前が乱れて、肩まで見せてはだけさせるのがまた艶っぽく、スライムが宙に浮くたびに先走りが噴出して、濡れに濡れる下半身は、もうあられもない。 「あ、あ、あん、も、う、もうっ・・・!」とより切羽詰った声をあげて、太ももを強ばらせたのを見て取り、出口を塞ぐように先にスライムを押しつけ、その人差し指以外の指で竿のほうを、きつく握った。「ああ、そん、なあっ・・・!」とその仕打を見て、ぼろぼろと泣くそいつに「俺、言ったよな?」と言う。 「俺は、俺だけを好きでない奴なんか、大嫌いだって。だから、浮気されても、あいつのことが好きだと言いながら、今、あんあんしているお前に、すっごいむかついている」 俺の言わんとしていることが分からないのだろう。小刻みにスライムを揺らすのに「はあっ、あぁ・・・」と熱く吐息しつつも困った顔をしている。一体何を言っているのかと、自分でも不可解に思いながら「決めろ」とつめ寄った。 「俺か、あいつか。言っておくけど、俺以外の奴は、お前にスライムでイタズラなんかしちゃくれないからな。もちろん、あいつだって」 言い終える前に「君、君にする!君がいい!君が」と「君君」と連発され、いい加減俺も、我慢ができなくなった。スライムを激しく跳ねさせ擦りつけると、すぐに「ああ、ああぁっ!」と達して、でも、濡れそぼったそれは倒れることなく、ある程度、硬度も角度も保ったままでいる。 胸を大きく上下させて息を切らす、そいつは「ギブアップ」とも言っていない。だから、俺はスマホを放って、スライムを片手に第二ラウンドに立ち向かった。 ※  ※  ※ 決闘後「浮気した女なんか、もういらない」とラインをして、彼女とは別れた。で、すべて終わりというわけでなく、もし彼女と武士っぽい間男が、交際をつづけるのなら動画で脅すつもりでいた。 あのときは、達したいから「君がいい」と言っただけで、その言葉が本心だとは思っていなかった。動画で脅して俺を選んでくれたとして、それも、本心とは言えないけど、スライムでセックスをするのが好きな変態と知っているのは、俺だけという状況にはなる。 セックスで満足したいなら、俺にしか求めることができずに、余所見はできないというわけだ。 どうせ、脅す羽目になるだろうと思っていたら、決闘をした翌日、バイト終わりのコンビニから出たところで、学ラン姿のそいつが待っていた。驚いて言葉を失くす俺に、そいつは目を伏せ、うっすら頬を染めながら「武士には二言はないというからな」と言った。 皮肉でも嫌味でもなく、可愛いと思った俺は、スライムで善がる奴に負けず劣らず、十分に頭がいかれているのかもしれなかった。
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