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喜んでくれるので頑張れるんです。
次の週の水曜日に優星のマンションに訪れた時に、久しぶりに日曜も休みだと伝えるとドライブに行こうと言う話になったので、美峰は車で優星の元に訪れた。
優星と明星は、マンションの中庭で美峰が到着するのを出迎えた。
「おはよう!美峰君」
明星は当然のように助手席のドアを開けて乗り込む。
優星ももう仕方ないと諦めている。
「今日はどこに行くの?お天気で良かったね!」
美峰はナビを鎌倉にセットした。
「今日は、紫陽花を見て、海にも行ってみよう!泳げないけど、見るだけでも良いもんだよ」
美峰がそう言ってにっこり笑うと明星もにっこり笑う。
明星を連れてちょっと渋いチョイスだったかなとも思ったが、この季節ならではの体験もさせてあげたいと思った。
鎌倉に着くと車を駐車場に停めて、江ノ電に乗り紫陽花の名所を回ったり、鎌倉の大仏を見たり、明星は初めて見る鎌倉の大仏に喜んでくれた。
写真もいっぱい撮って、明星は終始はしゃいでいた。
「鎌倉、中学生以来かも。学校の行事で寺巡りさせられて」
思い出すように優星は言う。
「僕は、大学の時に友達と海に来たのが最後かな。凄く日に焼けて大変だった」
美峰も昔の話を楽しそうに語る。
ふたりの雰囲気に、明星はムッとして美峰の手を握った。
「ん?そろそろお腹も空いたかな?お昼ご飯は何が食べたい?」
明星が手を握ってきて美峰が尋ねると、優星がネットですぐ調べ始めた。
「なんでも良いけど…………」
明星は優星と美峰が仲良く話す姿に割って入りたかった。自分の分からない話をされるのが嫌だった。
「これはどう?」
優星が見せると、明星が一緒になってスマホを覗き込んでいる。
色々見ているうちに、優星と明星はカレーを選択。
子供も食べられるカレーショップに向かった。
混雑はしていたが、そんなに長時間待たなくてもテーブルに着くことができた。
「明星君は何カレー?」
メニューを真剣に見ている明星は悩んでいた。
「チキンカレーかビーフカレー。どっちにしようかなぁ」
明星が決めかねていると優星が助言する。
「じゃあ、みんなで別々に頼んで、それぞれ食べるのはどうだ?トッピングも好きなの乗せられるぞ」
優星が提案すると明星はうん!と嬉しそうに頷く。
「じゃあ、チキンとビーフ。後は?ポークかシーフードだね」
美峰が尋ねると、明星はシーフードを選んだ。
それぞれのカレーにポーチドエッグをのせて、野菜チップ多目、チキンカレーは大盛りにしてチーズまでトッピングした。
3人の前に美味しそうなカレーが並ぶ。
それをみんなで回しながらシェアをして食べた。
「どれが1番好き?」
美峰が聞くと、明星は笑顔になる。
「どれも美味しかったけど、チキンが1番美味しかった!お肉も柔らかくて」
満足そうに明星は答える。
優星も満足したのか、最後の一口を食べると水を一気に飲み干した。
「あー、美味しかった。いろんな具材が楽しめて良かったですね」
優星が美峰に微笑みながら言うと、美峰も嬉しそうに頷いた。
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