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「はい、ビリヤニ……」
そっと置かれた四角い皿を見て、喉がひゅっとすぼんだ。期待値よりはるかに美しい桃源の食べ物が薄い湯気をまとわせてそこに在った。
左脇には小ぶりの碗に脂の浮いた濃厚スープ。見た目は、ほぼカレーに見える。そして小皿にアチャールまで。アチャールは一言で言うとインドの漬物だ。色はカレー色だけど味はさほど主張してこないのが普通。
僕は「いただきます」と囁いてスプーンを閃かせる。
楕円の白銀を差し込んだビリヤニはもはや、官能的なほどたおやかに皿の上ではらりと崩折れた。僕は背徳すら感じながらスプーンを口に運ぶ。
ああ……!
僕は今、生きているッ。
脳に到達するスパイスの香り、柔らかくもポロポロしたインディカ米が舌先で踊る。止まらん。たまらん。これはうまぁい!
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