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「ッッ…、セクハラですよ!」
「可愛い♪大丈夫誰も見てない時を狙ったから。」
こんな事をしておいて平然とそう言うこの男こそ私の平穏をおびやかす元凶だ。
私だってこの男がただの友達として好意を持ってくれるなら一々逃げたりなんてしない、だがこういうことを毎回して私が他の誰かと話しているとさりげなく割り込んで邪魔をしてきて、何で話してたのだの何を話してたのだの細かく聞いてくる。
要するに執着されている。
しばらく言い合っていると周りが騒つき始めている事に気がついた。
周りの視線が気になった私はこの空間から早く抜け出そうと会話を打ち切った。
「とにかく、用も無いのに話しかけてこないで下さい。」
「あっ、かなさん!」
「付いて来ないで下さい。」
何度か後ろを見て安藤が居ないことを確かめる。
(よし、居ないな?はぁ、やっと離れられた
まったく何故私なんて構うんだ。)
将矢が自分を構い出したのは入学初めからだからもう1年になる。日に日にセクハラは酷くなるしキスなんて当たり前だ、何よりあの目が怖い、一見すると笑顔なのに目にはどろどろとした何かが見える。
そして叶透は知らない。
叶透の姿が見えなくなるとさっきまでの笑顔が幻だったかの様に将矢の顔に温度が無くなったのを…。
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