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逃走中
ポカポカした暖かい春の光に誘われて桜の花も咲き始める今日、この男子校でも入学式を終えて早数日、晴れて高二になった私の平穏かつ穏やかな生活をおびやかす奴がいる。
青池叶透は現在その元凶から逃走中だった。
そいつはいつも目立っていて笑顔を崩さずクラス中心にいる、そんな奴が何だって私なんかを…。
周りを気にしながら早めに歩いていると、
「か〜なさ〜ん。キョロキョロしてどうしたの?」
……一体何処から湧いて出たのか
私が会いたくなかったそいつ安藤将矢は今日も人好きする笑みで私を見つめている。
「まさやさん…、こういう公共の場では声をかけないで下さいと言いったでしょう?」
「ごめんね?見かけたからつい…。」
そう言いながら腰にするりと手を伸ばして自分の方にグイッと寄せられる。そして腰にある手が段々と下の方に下がって……。
「んっ…。」
思わず出た吐息がかった声に顔ご赤く火照ると将矢は一段とその笑みを深くした。
そして段々とその顔が私の顔に近づけてきて
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