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左手の甲
「やれやれ、大当たりなのはいいが。やはりこやつと殺り合うのは、ちと骨が折れそうじゃ」
「なーに?いつになく弱気じゃん?それなら私が!!」
どこから途もなく現れた薙刀を手に、朱雀が少年に突っ込む。
「こら!待たんか朱雀!!」
玄武の呼び止める声。
だが、時既に遅し。
朱雀の右脇腹は切れ、血で赤く染まる。
「くぅ、、、!」
苦悶の表情を浮かべながら、右脇腹を押さえる朱雀。
「全く、お前さんは何をやっとるんだ」
「何って何よ!隙だらけだし、武器のような物だって持ってないし」
「そうか、お前さんはこやつと初対面か」
「だから何?」
「よく見てみい、あやつの左手の甲を」
朱雀は玄武に言われ、少年の手の甲をジッと見る。
「サツ(殺)?」
「朱雀よ。お前さん、漢字も録に読めんのかい。ありゃ、セツ(刹)じゃ」
「し、知ってたわよ。あんたを試しただけ」
「まぁーよいわ。それだけ生意気な口を叩けると言うことは、傷の方はもう平気じゃな」
気づけば朱雀の血は止まり、傷口も塞がっていた。
二人が話す間も、少年は微動だにせず男を見下ろしている。
「あれ、ちょっと待ってよ。手の甲に文字って、もしかしてあいつも私達と同じ」
「今頃気づいたんかい。だが、ワシらとはちょいと違う、あやつのは右ではなく左手の甲に文字があろう?」
「ん?あ!そうか」
「いやはや、お前さんも早く一を聞いて十を知るようになって欲しいわ。そう、あやつは、、、」
玄武が何か言いかけようとした瞬間、今まで微動だにしなかった少年がスクっと立ち上がる。
「さて、話は後じゃ。とにかく、左手に注視すること。そうすれば、先程のように簡単には傷を負うこともあるまい」
「はいはい。それじゃ、じいさんはサッサと結界よろしく~」
朱雀は薙刀を構え、少年と対峙した。
「さて、第二ラウンド開始!!」
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