3人が本棚に入れています
本棚に追加
そう言って笑いあった。
「でもさ岡本くんが関口くんと友達なんてちょっと意外だよね」
「それよく言われるよ」
「いつも何してるの?」
「いつもはゲーセンかな」
「ゲーセンって行ったことないなぁ」
「行ったことないの?」
「いつも勉強ばかりしてるからね。それに私がゲーセンなんてイメージないでしょ?」
言われる通りいつもの委員長からゲーセンのイメージは想像も出来ない。けど今の普段着の委員長だったらどうだろう。いつもはひっつめている髪も下ろしていて、案外髪長いんだなとか、かっちり着こなしている制服から、ゆるっとした柔らかそうなニットワンピースに着替えるだけで、ずいぶん大人びて見えた。多分、この場にクラスメートがいても誰一人委員長だって気がつかないと思う。目の前でこうやって話している僕だって信じられない気持ちでいる。
「ねぇ、例えばゲーセンに行ってなにするの?」
「格ゲーとかが多いかな。あとは音ゲーとか」
「格ゲー? 音ゲー?」
「えっと、格ゲーは格闘ゲームのことでボクシングみたいにキャラクターを動かして闘うゲームのことで、音ゲーは音楽ゲームの略。音楽ゲームっていっても色々あって、鍵盤みたいなボタンを操作したり、体を動かしたり、ギターやドラムセットみたいな機械もあって──っ、ごめん……」
「なんで謝るの?」
「僕ばっかり喋ってたし面白くない話だったから……」
「そんなことないよ。私の知らないこといっぱい知っててすごいなって思ったよ」
「そうかな……」
「そうだよ。岡本くんはもっと自分に自信持ったほうがいいよ」
普段は見たことない笑顔でそう言ってくれた。
「ね、もっと色んな話聞かせてよ」
それから委員長は僕の趣味や好きな本のこと、普段はどんなことをしてるかなど、普通の人だったらなんの価値もないようなことを嬉しそうに聞いてくれた。性格なのか、少しでも自分が疑問に思ったことだったら納得するまで掘り下げるし、知らないことなら目を輝かせていた。
最初のコメントを投稿しよう!