エイリアンズ同盟

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 それから毎週土曜日の夜、僕らはドライブインに集まっていた。  同盟の名前はエイリアンズ同盟。なんのひねりもない。名前の由来はエイリアンズが好きなもの同士だかららしい。名付けは委員長がした。  同盟といってもなにをするわけでもない。宇宙人や未来人や超能力者を探すわけでも、世界に宣戦布告するわけでもない。ただ集まって、話をして、ハンバーガーを食べる。それだけだ。  それでも僕にとってこのささやかな時間を楽しく感じていた。  同盟を組んでからひと月経つ頃には委員長は僕のことをコウくんと呼ぶようになり、僕も委員長もお互いのことをよく知る友達というより、同志になっていた。もちろんこの同盟のことは僕たち二人だけの秘密だ。学校ではお互い距離をとり過ごす。たまに用がある時は手紙という手段を使って連絡を取り合う。  そんな秘密の関係がしばらく続いたある日──、 「最近なんか変わったよな」  昼休みの屋上で不意に智也が言った。なんのことかさっぱりわからずにいると、「お前だよ。コウ」と付け足した。 「僕? なんで?」 「なんつーか、カッコよくなった?」 「なにそれ」 「俺にもよくわかんねーんだけどよ、雰囲気が成長した感じっつーの? 大人になった感じ」 「ますますわかんない」 「だから言葉にしにくいんだって。まぁ俺はそれ以上にカッコいいけどな」  そんなことを恥ずかしがることもなく言ってのける智也はやっぱりすごいと思うし、カッコいいのは事実だ。ただ僕が変わったとすれば委員長のおかげなんだろう。 「お、そういえば委員長の話聞いたか?」 「委員長の話?」 「大学生の彼氏がいるって話」 「へ、へぇ……そうなんだ」 「ま、彼氏がいてもおかしくない顔立ちしてるけどよ、実際にそんな話聞くとなかなか委員長もやるよなー」  智也が二ヒヒと笑う。なにかいやらしい想像でもしてるんだろうけど、僕はどうしても笑う気になれなかった。
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