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石原さんに連れられてきたのは駅前のパンケーキ屋だった。最近テレビでよく取り上げられてるのを見たことがあった。ピークの時間帯じゃないからか、テレビで見たような行列はなく、スムーズに店内に入ることができた。
あまり馴染みのない店に視線をさ迷わせていると、店員さんに案内されるがまま席に通された。
イスに座ってからもう一度周囲を見渡す。女の子が喜びそうな色使いのインテリアとポップが目まぐるしいまでに飾り付けられていて、自分がここにいることが場違いなんじゃと錯覚しそうになる。実際店内で男は僕だけしかいない。周りは女子会なのか女の子がはしゃぐ声であふれていた。
「どうしたんだい難しい顔をして」
「う、うん、こういったところって来たことないから緊張しちゃって。男なんて僕しかいないや」
「男性はあまりこういうところには来ないからね。さしずめここは秘密の花園といったところかな」
頬杖をつきながら顔を傾げて柔らかく微笑む。もし僕が女の子だったら勘違いしてしまいそうだ。
「ところでここのオススメって」
「ああ、どうやらこよラズベリークリームトッピングがオススメらしい」
「らしい?」
「実は私もここに来るのは初めてなんだ」
そう言いながら少し照れくさそうにしていた。
「こういったところには馴染みがなくて、ここの招待券をもらって気にはなっていたけど一人で入る勇気が出なくてね。それで君を誘ったというわけさ」
「そうなんだ。でも僕も石原さんに誘われなかったら来てなかったよ。ところで石原さんはなににするの?」
「私はキャラメルソースにバニラアイスをトッピングしたものにしよう」
「見てるだけで甘そうだね。石原さんって甘党?」
「君は私をなんだと思っているんだい? これでも私も年頃の女の子だよ」
少しだけ不機嫌にしながらも、まぁ仕方ないかとメニューを眺めていた。
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