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授業が終わって昼休み、購買へ行くため廊下を歩いていると「岡本くん」呼び止められた。
「委員長どうしたの?」
「ちゃんと謝りたくて」
「なにを?」
「私この間秘密基地に行けなかったから、もしかしたら秘密基地で待っててくれたんじゃないかと思って」
「あー、その日は僕もずっと寝てたから行ってないんだ。もしかしたら委員長来てたらどうしようって思ってたから安心したよ」
咄嗟に出た嘘にどうしてこんなスラスラと出てくるのか、びっくりしていた。
「そっかぁ。なら謝って損しちゃったな」
「うん。ごめんね」
「いいよ。それよりも……」
言葉を止めた。
「私がいなくて寂しかった?」
委員長がそっと耳元で囁く。突然のことで僕はは? とか、え? とか言ってたかもしれない。それくらい動揺した。
「あはは、ちょっとからかいすぎちゃったかな」
悪戯っぽい笑みを浮かべて委員長はくるりと回る。制服のスカートが広がった。
「それじゃまたね」
僕をからかうことに満足したのか、委員長はさっさと行ってしまった。それでも先週から抱えていたもやもやが晴れるのを感じていた。案外単純なのかもしれない。
少しだけ購買へ向かう足取りが軽かった。
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