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本棚のビル群の中を徘徊もとい散策していると、話し声が聞こえてきた。盗み聞きも悪いと思い、その場から離れようとする。が、ある人物の名前が僕を引き留めた。
「え、じゃあ相川先輩のウワサってホントなの?」
「声が大きいって。誰かに聞かれたらどうするの」
「大丈夫だって。ほら誰もいないし。それよりさ相川先輩の話」
「そうそう、相川先輩の彼氏大学生なんだってね。しかもすっごいイケメン」
「先輩も大人しそうな顔してるけどやることやってんだねー。あ、写真とかないの?」
「私は持ってないけど、二組の子が写メ撮ったって自慢してた」
「え、それマジ?」
「見せてもらったけど後ろ姿だけだったし、遠くから撮ってたからちゃんと写ってなかったんだよね」
「ざーんねーん。あ、そういえばさもう一つこんなウワサ知ってる?」
「なになに?」
「あのね……」
「相川先輩が妊娠してるって話」
「え! ウソ! あ、でも先輩を病院で見たって人聞いたことあるかも」
「だれだれ?」
「ほら三組の田中っているでしょ? あの子先週風邪ひいて病院行った時見たんだって。それも産婦人科から出てきたんだって」
「え……じゃあ……」
「間違いないって話だよ」
「じゃあやっぱり……」
と、
「君たち、ここはお喋りをするところじゃない。本を読むところだよ」
「あ、石原先輩……」
「す、すいません……」
「謝ることはない。次から気をつければいいだけだから」
「はい……すいませんでした」
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