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「なぁ…。」
しばらくここには来ないと言おうとして口つぐむ。
「あ、お前アップルパイ好き?母さんが作ってくれたんだよ。」
下に取りに行くのを見送って俺は一人さっき言えなかった言葉の先を考える。あいつのおかげでせっかく歌ってて楽しいと思えたのに、歌手になりたい気持ちは本物なのに。
「ほい。まだ暗い顔してる。」
いつの間にか戻ってきてた。
「ありがとう。おいしい。」
「だろう。母さん料理は微妙だけど、デザート作らせると天才だからな。内緒だよ。」
九条は甘いものがどうやら好きらしい。俺の歌を聴いてるときと同じ笑顔を向けてる
「さっき言おうとしてたことだけど、俺、ネット投稿止めようかと思って。」
「なんで?」
「俺、この間ネットで見たんだ、学校の名前とか、俺の本名とか特定されつつあるって。あと、ネット投稿って住所まで特定されることもあるんだろ?」
全部言った。親の事以外は全部。
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