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「だから?知り合いが多くなったって程度だろ?まあ、変ないたずらみたいなのはあるかもしれないけど、こっちが知らなくても知ってても、いたずらするやつからしたら変わらないよ。するやつはするんだ。歌手だって一種の芸能の世界、いろいろ覚悟は必要だと思うよ。」
九条の言葉には同い年とは思えないほどの説得力があった。まるで俺の親共みたいな。
「なんだよ。お前がこの世界に引き続きこんだんじゃねぇか。そんな無責任な言い方ねえだろ。」
「俺はただ手助けをしたくて。今時ネットの怖さを知らないの森岡くらいだよ。」
「俺は頼んでねぇ!大体あの時も冗談のつもりで言ったんだ。それをお前が本気にするから。」
そうだ。冗談だったはずだ。
「冗談には聞こえなかった。冗談にしたそうだったけれど、本音なんだと思った。というより本音であってほしいと思った。俺が、森岡の鼻歌に聞き惚れてたから。」
「鼻歌?」
完全に初耳だ。
「そう。みんなで遊んでた時、よく鼻歌歌ってた。他の人も容認して、こいつはそういうやつだからみたいな。自然と歌ってたよ。やっぱり無意識?」
確かに、作曲するときに頭の中のイメージをそのままベースに落とし込むには難しく、一度鼻歌などを歌うこともよくある。それを無意識にやっていたとなると…
「痛すぎるだろ。俺。」
「作詞作曲なんて黒歴史の塊だと思うよ。でも、それが評価にもつながってる。いいじゃん。」
羞恥に顔が真っ赤になっているだろう事は想像できていたが、
「はぁぁ。」
溜息しか付くことができなかった。
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