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「チワッス!」  元気な声を出して部室の中へと足を踏み入れる望。そこには着替え途中でパンイチ状態の猛者どもが数人……  なるほど。入学、入部したばかりの女子マネージャーにとっては、少しばかり刺激の強い光景か。  望も割り当てられたロッカーにバッグを仕舞い、制服から濃紺のジャージへと着替える。  そして無造作にTシャツやランニングパンツなどが放り込まれている買い物籠を手に取って外に出ると、再び梢と並んで歩き出す。  秀嶺学院は地元の富豪や著名人の子息なども通う学校である。そのためスポーツ関係の付随施設も他の学校に比べて充実している。  サッカー部と陸上競技部こそ同じグラウンドを使用して練習しているが、400mのトラックを保有しているため、その中にコートがすっぽり納まり、あまり互いを干渉することはない。  野球部には専用の野球場が。ラグビー部には専用のコートがあり、水泳部には屋内の温水プールが完備されている。  2つの体育館を含めた屋内運動施設も充実していて多種多様な屋内競技に対応している。  筋トレのためのジムやシャワールーム。ランドリーも完備されていて、各部にひとつずつ横ドラム式の乾燥機能付き洗濯機が割り当てられているほどだ。  望と梢が向かっているのも、第二体育館の隅に用意されているランドリーコーナー。陸上競技部用の洗濯機が置いてある場所。 「望くんは学校に慣れた?私はもうダメだ。早くも落ち(こぼ)れそう……」  体育館に向かって歩きながら、梢はそう言って肩を落とす。 「あはは…… こずちゃんは一般の進学コースだっけ?授業って大変?」 「あ、そっか。望くんって特待コースだとばかり思ってたけど、一般の特進コースなんだっけ。私より大変な授業を受けているのに愚痴っちゃった。ゴメンね」
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