一時停止不履行

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「何がですか?てか、なんで自分が撮られたと思ったんですか?」 僕は視線を地面に向けたまま聞いた。 運転手が一歩近づいて来たのが分かる。 僕は思わず首をすくめる。 「おまえさぁ、なんかアレ?ネットに投稿とかしようとしてね?」 口調が変わった。 「そうですね…見てくださ」 僕はコートとスーツのパンツの濡れたところを見せた。 「あなたが先程生活道路から出てきたときに、掛けたんです。水たまりの泥水を」 「は?生活道路?」 「そうです。で、そのまま逃げるんだろうと思ったから撮ったんですよ」 「おい、スマホ出せよ」と手が伸びてくる。 「嫌です。何するんですか?」 「消させて欲しいんだよね」 「ロック掛けてます」 と僕はスマホを手渡した。 「解除して」 「嫌ですよ」 「壊すぞ?」 明らかに口調も顔付きも変わった。 「あの…」 面倒くさくなってきていた。
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