フェイクダイヤ

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フェイクダイヤ

【依頼】 夜のデパートに忍び込むのは、意外と容易(たやす)い。 しかも、既に侵入を計画している奴らがいれば、雨ざらしの犬小屋に入るくらい苦労はしない。 狂犬がいなければの話だけれども。 ミヤネから電話が来たのは一昨日だった。 「はいはーい」 「…」 「もしもーし。どしたの?ミヤネ」 「相変わらず軽いな。いつもそうなのか?」 「いつもは違う。仲間の時だけ」 「なぜ俺だとわかった?」 ミヤネからの電話は、毎回違う番号から掛かってくる。電話番号から居場所を突き止められないようにしているんだろう。 声のトーンを抑えて「実はさ…」と言ってから、「この番号に掛けてくるのはミヤネだけだから。ミヤネにしか教えてない番号なのでー」 「ちっ、そういうことかよ。長年の謎が解けた」 「で?いくら?」 「300」 「その程度か…」 「やるか?」 「うーん。内容は?」 内容を聞くと言うことは、情報を貰うということ。 それじゃないとされちゃうから。 つまり、情報提供というよりは、体のいい依頼みたいなもんだ。
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