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バイトから帰ってきた清美にミヤネの情報を話した。
地下鉄で3駅隣、市の中心部に建つ駅ビルの一角を占めるデパートがあるよね。
5階建ての中の3階にある宝石店に深夜、我々の業界ではあまり名の知れていない、駆け出しの強盗チームが忍び込むらしいんだ。
宝石店といっても、店そのものではなく金庫だね。
奴らは3年前からそのビルの警備員として仲間を勤務させ、宝石の金庫近くに仕掛けを施したんだ。
その仕掛けは、夜中の決まった時間に低周波騒音を発生させるらしい。
人間の耳では感知できない低周波ね。
低周波は金庫の中で反響することで増幅し、ダイヤモンドを振動させる波長になるらしいんだけど、それが重要なんだってさ。
「つまり?」清美が聞いてきた。
「その金庫は、中の重量が変わると警報が発せられるようになってるらしいんだけど、ダイヤが振動すると僅かに重さが変わるんだ。微妙に軽くなる」
「ふむ」
「その金庫が置かれた部屋の隣には、夜間電力の蓄電装置があるんだけど、そいつらは一週間前にその装置を交換した。つまりその装置に仕掛けがあるんだ」
「へー。蓄電装置の業者にも仲間がいたんだ」
「その通り。さすが清美」
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